【Acoustic Guitar】


 Gibson J-50 (1956)
     
 

河野智行、不動のメインギターです。生涯の一本。2005年、神保町の某楽器店で出会い、見た目は傷だらけですが、妙な存在感を放っているこのギターに惹かれ、吸い寄せられるように手にとりました。一音、鳴らした瞬間に、脳天をつく衝撃。ピックで鳴らしても、指で弾いても、僕の考える理想のギターの音、そのものを体現してくれます。 数ヶ月間、買おうかどうか迷ったのですが、ずっと誰の手にも渡らず待っていてくれたため、最終的に購入を決定しました。今は手に入れて、本当に良かったと思っています。

  サイド&バックはマホガニー。重量は、驚くほどに軽いです。マホガニーのギターは、音に暖かみがあって僕の好みです。マホガニーという材質の特長かもしれませんが、弾いている本人が非常に、気持ちいいギターです。僕は個人的に、楽器は演奏者が気持ちよくなれるのが、一番だと思っています。
  ブリッジは、もともとアジャスタブルタイプのものが着いていたらしいですが、以前の所有者が、ノーマルタイプのものに付け替えたようです。これは結果的に、非常に密度の濃い、コシのある音を演出することとなり、改造としては成功といえると思います。ネックは、同年代のものと比べあまり太くなく、テンションが弱めのため、手が非常に小さな僕でも疲れることなく、ずっと演奏し続けていられます。
  音質は、耳に心地いい音域だけが出ている感じで、一度弾き始めたらなかなか手放せなくなってしまい、いつまでも弾いてしまいます。特にボーカルとの相性は抜群で、僕の柔かめの声質を邪魔することをせず、優しく包み込んでくれる感じがします。
  最近は、ライブでもFishman製のピックアップをつけて、メインで使っています。こちらもかなりご機嫌な音です。ギターは、出会いであり、相性だと思いますが、 このギターは僕に呼ばれて、僕はこのギターに呼ばれたのだと、心から信じられます。
     


 Martin 000-18 (1968)
     
 

2本目のメインギターと言えるギターです。1st Album 『Guitarman』に入っているアコギは、ほぼ100%、この2本のどちらかを使っています。Martinは、一般的にローズウッドのギターについて語られることが多いですが、僕はマホガニーの方が好みです。このギターは、000(トリプルオー)と呼ばれるサイズで、D(ドレッドノート)よりも、一回り小さいつくりになっています。体の小さな僕でも、持ってみると体にフィットする感じで、抱えていて心地いいです。

  音質は、1弦〜6弦までの音が、均等に前に出て行く感じです。J-50に比べ、ギターとしてのバランスに優れているというか、非常に綺麗で、上品な音がします。そのため、演奏している本人のピッキングニュアンスが、良くも悪くもそのまま出てしまいます。
  サステインはかなり短めで、立ち上がりが早く、歯切れの良い音がします。細かいフレーズやアルペジオの多い僕にとって、互いの音が干渉し合わず、軽々と次のフレーズに移っていくことができ、とても扱いやすいです。特にレコーディングでは、マイク乗りもよく、すっきりとした音を演出できます。スリーフィンガーを弾いた時の響きは、他のギターでは絶対に出せません。
  J-50と比べると、幾分テンション感があるため、指で弾く時にも、ちゃんと深いピッキングを心がけて一音ずつ弾いてあげないと、いい音で鳴ってくれません。このギターは、弾くたびに演奏者としての腕を試されているような感じがします。
  60年代のMartinのため、フィンガーボードとブリッジはハカランダ製です。年代物のわりに、以前の所有者にさほど弾かれていなかったのか、購入した当時は、少々高域寄りの硬い音がしていましたが、最近では木も響き始めて、中域から低域にかけて深い音が鳴り始めています。数年後には、もっと良くなっていくことでしょう。このギターの潜在能力を、これからどれだけ引き出せるか、楽しみです。
     


 Stafford SAD-1000N (2000)
     
 

J-50を意識したであろう、個性的なフォルムが印象的な、Stafford製のエレアコです。上位機種に、サイド&バックがローズウッド製のSAD-2000があり、購入当時、弾き比べてみたのですが、マホガニー製のSAD-1000の方が好みの音がしたため、こちらを手に入れました。当時から、僕の音の好みは一定しているようです。

  ピックアップは、ARCシステムという、プリアンプ&インブリッジ・ピエゾが採用されています。これは、Highlanderのシステムと構造が似ていて、音を拾うピエゾ部分が巻かれて作られているため、通常のインブリッジより、柔かい音質がします。僕のギターよりも後の世代で作られたSAD-1000シリーズには、プリアンプにコントロール部分がついていないものもあるようですが、僕のギターには、High、Low、Volumeの3系統スライダーと、EQin&outのスイッチがついています。
  生音は、ボディーの大きさとは反して、あまり鳴りません。もともと、エレアコとしての使用を意識して、ハウリングを防ぐため、意識的にそのように作られているのだと思います。ラインの音は、現代的なピエゾの音、エレアコの音です。バンドサウンドなどで使う時には、これくらい硬質の方がちょうどよく、ギターらしさを演出してくれると思います。
  ちなみに、こちらのモデルは現在は生産中止になっているようです。ただ、いまだに根強いファンが多いらしく、中古で出ても、すぐに売れてしまうそうです。気に入った方は、見つけたら早めの購入をおすすめします。
     


 Yamaha APX-6CS (1994)
     
  高校生の時に、初めてアルバイトをして買ったギターです。当時はまだ、エレキの方が勢力が強く、アコギに関する情報が少なかったのですが、その中で、必死に見繕って買ったギターです。実は、ネックを2度ほど真っ二つに折ってしまった経験があります。修理費はかなりかさみ、購入代金の半分以上になってしまいましたが、初めてのギターは、直して手元に置いておきたい、と思い修理に踏み切りました。今はすっかり綺麗な状態です。
 

サイド&バックは、Adamasのような、ブラックマット仕様です。ボディーが薄いため、立って演奏しても、とても弾きやすいです。シングルカッタウェイもそうですが、ロックミュージシャンが、エレキからの持ち替えをすることも、視野に入れての仕様なのだと思います。時代性、ですね。

  生音は、ルックスから見た想像以上に、いい音がします。もっとも、長い間弾きこんだため、購入当時よりも、よく鳴るようになったとは思います。ピックアップは、Yamaha独自のシステムです。後にCompassシリーズが出てからは、マイクとピエゾをミックスする方式も出てきましたが、このAPXは、普通のピエゾです。ライン音は、生音とは少々離れていて、電気っぽい音がします。当時のYamahaは、弦ごとに2系統に分けてステレオで出すというシステムも採用しておりましたが、これはモノラル仕様です。
     


 PIRLES Gut Gutar
     
  Profileの欄にも書いた、小学生の時に叔父からもらった、生涯初めてのギターです。サウンドホールの中に、「PIRLES」と書いてある以外は、型番など詳細不明のギターです。しばらく弾かないままで、ケースの中にしまっていましたが、Albumのレコーディングで、久々に使いました。『Taxi Driver Blues』の最後の方で聞ける音が、このギターです。
 

ネックは、フラットなタイプが多いクラシックギターと正反対で、丸く、太い形をしています。音質は、さほど特長があるわけでもなく、普通のガットギターの音です。これからも、ワンポイントで、レコーディングの使用があることと思います。

     


【Ukulele】


 Pupukea UF-DX "Puku" (2005)
     
 

弾き語りでの演奏に幅をつけたいと思い、購入したウクレレです。有名ギターファクトリーFUJIGEN製のPupukeaというメーカーのものです。現在ウクレレは、Kamaka製に代表されるハワイ産が人気ですが、国産でしっかりと作られたものは、実はハワイ産以上に楽器として安定しています。

  サイズは、ソプラノという一番小さなタイプです。一回り大きい、コンサートというタイプもあるのですが、僕はソプラノの音の方が、よりウクレレとしての特徴が出ていて、好きです。
  材質は、ハワイアンコア。とても明るい音色で、ウクレレらしさが前面に出ている楽器です。音量は、小さなボディーからは想像できないほどに大きいです。この楽器を手に入れてから、まだ日が浅いため、木の鳴り自体は、まだまだ若い気がします。しかし徐々にですが、深みと音量が増してきている気がするので、これからが、楽しみな楽器です。
  ちなみに、こいつには「プク」というニックネームがついています。ハードケースに入れても、非常に軽いため、街に出る時、気が向いたら連れ出してあげています。とても可愛いやつです。現在、ライブではもちろん、レコーディングでも活躍しています。『君が笑った、君が泣いた』で全体に聞ける音が、このプクの音です。
     


【Electric Guitar】


 Epiphone Casino
     
 

僕はエレキギターを持つと、最初に何を弾いたらいいか、とまどってしまうほどに、アコギの人間なのですが、このCasinoは、エレキの中でもよりアコギ的に演奏できるギターだと思います。そういう意味で、ギターに対してコード的な解釈の多い、John Lennonが愛用していたのも、うなずける気がします。

  中は空洞になっており、Gibson ES-335のようなセンターブロックのない、いわゆるフルアコタイプなので、生音でもかなりの音量があります。しかし、アンプで鳴らして音量を上げると、すぐにハウリングをするのが難点です。
  ピックアップは、見た目に反して、シングルコイルのP-90がフロント&リアに搭載されています。このあたりの詳しい解説は、エレキギターに通じている方にお任せしますが、独特の、粘り気のある音質です。ソロを弾く場合には、若干サステインが少なめのため、バッキングなどで、より力を発揮するギターなのでは、と個人的には思います。コントロールは、ピックアップセレクターのほかに、フロント、リアそれぞれにVolume&Toneの合計4系統のノブが用意されているため、音作りの幅はかなり広く、使いやすいです。
  見た目と演奏性の好みから、ピックガードは自分で取り外しました。思いついたときに、いつでもコードの確認ができるように、弦は緩めず、いつもスタンドに立てて部屋にスタンバイしています。
     


 Fender U.S.A. Stratocaster
     
  実は、APX-6CSの次に手に入れたのは、このギターです。高校生の時に、地元の友人とバンドを組む機会がありまして、その時に、友人の友人から、格安で譲ってもらいました。これはFenderでも、ちゃんとしたU.S.A.製ですので、実際には結構な、ハイクラス品です。
 

音は、そのままストラトの音です。テレキャスの音も無骨で好きなのですが、こちらは、より音作りの幅が広い気がします。U.S.A製なので、音抜けはさすがです。フィンガーボードは、メイプルではなくローズウッドです。アームは、写真では取り外していますが、フローティングをさせない状態で、使うことも多々あります。ただ、現時点で弦高とネックのバランスは少々崩れていて、チューニングもしっかり合わないので、一度、本格的な調整の必要があるように思います。

  Casinoと違い、ソリッドボディーなので、エフェクターの乗りがとてもよいです。歪ませた時の音色は、独特の艶があり、特にギターソロをとる時には、いい仕事をしてくれます。『ギターマン』で聞ける、間奏&ラストのソロの音は、このギターです。
     


【Bass】


 Rickenbacker 4001V63 FG "Lucy" (1995)
     
  Rickenbacker製のベースです。以前にバンドで、Bass&Voを担当している時に中古で手に入れました。Paul McCartneyが使っていたのと、同じモデルです。このモデルはV63というリイシューモデルで、現在は生産されていません。カラーは、Fire Gloと呼ばれる、メイプルの木目を最大限に活かした、非常に綺麗な赤色です。塗装が見事で、時間がたつのを忘れて、見とれてしまうことがあります。
 

Rickenbackerは、全てにおいて個性的なメーカーです。そのボディとヘッドのシェイプラインの美しさは、他のメーカーとは一線を画していると思います。リア・ピックアップ部分は、ホースシューと呼ばれる、大型のピックアップカバーのようなものがついています。60年代の4001は、それ自体、磁気を帯びたピックアップの一部として機能していたらしいのですが、V63では、形だけのダミーになっています。ピックで弾く時には、その上に右手を置けてちょうどいいのですが、指弾きの時には、本来のピッキング位置から右手をずらす必要があり、良くも悪くも、非常に個性的な形になっています。

  音質は、Fender系統とは、かなり異なります。JazzBassが、基音の周りにある音の粒で聞かせる楽器だとしたら、4001は、基音そのままが、ストレートに抜けていく感じです。他の楽器になじませる音質というよりは、それ自体が個性のある、硬質な音のため、より、フレージングが目立つように思います。そのため、扱いには少々慣れが必要で、向いている音楽とそうでない音楽が分かれますが、なぜだか愛着のわく、不思議な楽器です。愛称は「ルーシー」。
     


 Fender Japan Jazz Bass (2002)
     
  4001を手に入れる前に、録音のために購入した、Fender Japan製のJazz Bassです。このオーシャン・ターコイズ・メタリックという色は、当時は限定生産の、珍しいモデルでした。
 

音質は、さすがにU.S.A.製のものと比べてしまうと、音抜けが少ない気がしますが、Jazz Bassの音は、しっかりと鳴ります。4001を手に入れてからは、使うことが少なくなった気がしますが、カントリーやブルースなどのセッションに飛び入りで参加する時には、このベースを持って行くこともあります。こちらはピック弾きよりも、指弾きで弾いた時に、より楽器としていい音が出せるように思います。

     


【Percussion】


 Decora43 Cajon 10472
     
 

家で簡単なデモを作るときに、MIDIでドラムを打ち込むのが面倒だったため、以前から興味のあったカホンを手に入れました。ただの箱のような形をしているのですが、真ん中を叩けばバスドラ、淵の部分を叩けばスネアと、まるでフルセットのドラムのような音を出すことができる、非常の奥の深い楽器です。

  このカホンは、Decora43という、旭川にある個人工房で作られたモデルで、明るく張りのある音質が特長です。仙道さおりさんという、僕の大好きなパーカッションプレイヤーも、こちらのメーカー製のカホンを使っているようです。
  写真で見てとれるように、この10472というモデルは、サウンドホールはサイド部分についています。通常のカホンは、バックに穴があいているのですが、演奏者自身が、より自分の音を聞きやすいという意味で、僕はサイドホールの方が好みです。さらに、バックにホールがついていない代わりに、後面も打面部分になっております。こちらは前面と違い、響き線が張っておらず、板も少々厚めのため、よりパーカッション的な、民族音楽寄りの音がします。
  これはDecora43独自の仕様なのですが、打面の角のネジを何本か外してあり、意識的に、表板を反らせて浮かしてあります。これによって、端の部分を強く叩くと、スラップ音が得られ、効果音として使うことができます。
  ちなみに、本体の上に乗っているのは、Decora43オリジナルの座布団です。座り心地はとてもいいのですが、腰の位置が高くなるため、相対的に、打面が体から遠ざかり、手の短い僕には、少々演奏がきつく感じることもあります。そういった理由で、最近は座布団を使わず、直に座っています。
     


【Synthesizer】


 Korg Trinity V3 ProX
     
 

数年前に中古で購入した、Korg製の往年の名機、Trinityです。この楽器が登場した当時は、真ん中にあるタッチパネルは革新的で、かなりの評判を呼んだようです。ただ、さまざまな場所でタッチパネルに日常的に接する機会の増えた今では、その反応の遅さに、逆に少しびっくりしますが。

  僕が持っているのは、ProXという、88鍵のピアノタッチのモデルです。重量は30kg以上あり、とても持ち運べるものではありません。手に入れたときも、家に運び込むのがとても大変だったように記憶しております。しかし、ピアノタッチは気持ちよく、やはり弾いている実感があるのがいいです。このあたりは、エレキよりもアコギが好き、というのと通じるような気がします。ただ、この機種に関して言えば、もう少し引っかかりのある鍵盤の方が、個人的には好みのような気がします。
  V3というのは、初期モデルからバージョンアップされて、Moss音源という部分が、モノフォニック(単音)から、ポリフォニック(複音=6音)に変わったモデルのようです。値段が初期モデルよりも安くなったため、出力部分のパーツに安いものを使っているのでは、という説もありますが、真偽のほどはわかりません。安くなったと言っても、発売当時は、30万以上はしたらしいですが。
  後発モデルである、Tritonが流行のダンス・ミュージックに照準を合わせた機種だとしたら、Trinityは、よりアナログ的な音質のように思います。ACCESSと呼ばれる音源部は、どの音色もKorg独自の太さがあり、現在でも愛用者がいるのは、うなずける気がします。そうは言っても現行品と比べてしまえば、やはり音の奥行きは少ないので、生音系のバッキングを作るのには少々苦労します。1st Album 『Guitarman』では、頑張ってこれ一台で生音以外のオケを作りました。